2012年6月12日火曜日

Blu-ray BOX 「南極大陸」 (続)

最後まで観ました。戦後の日本がひとつになって行なった南極観測事業の一面が、樺太犬のドラマを中心として劇的に表現されています。1年間置いてけぼりとなった犬がどのように過ごしていたかなど誰も見ていない場面の創作が過ぎる点など、気になるところは色々ありました。第1話から劇的な演出が多かっただけに、作品として竜頭蛇尾である感じは否めません。作品として多少軽く見えてしまうのは、ロケが北海道で雪等の質感が全然違うこともあるでしょうし、所々で使われているCGが「やり過ぎ」な為でもあるでしょう。また、観ている側(私)が、タロとジロの2頭の物語を既に知っていた為でもあるでしょう。さらに、20年以上前に観た、高倉健さん主演の「南極物語」の大きな感動と、無意識的にせよ意識的にせよ比較してしまっている為であるかも知れません。そういった意味で、厳しい見方をされてしまっても仕方が無いテーマだったと言えるでしょう。

なお、原作が、南極第1次越冬隊の隊員(犬係)で、第3次越冬隊にも参加し、タロ・ジロと再会を果たした御本人の作による「南極越冬隊 タロジロの真実」であるだけに、昭和基地で8頭の樺太犬の遺体(←死骸とは言いたくない)が発見された様子とか、当時の様子が垣間見える作品になっていると思います。そういう意味では、高倉健さん主演の「南極物語」よりも実話に忠実なのかも知れません。

自分が演出するなら:1年間南極に置いてけぼりとなった犬の描写は違ったものにする…かなぁ。第1次越冬隊員が帰国した後の犬の描写は事実中心の淡々としたものとし、厳寒期の南極の気候を描写して視聴者の想像を掻き立てるでしょう。日本で悶々とする第1次越冬隊員の姿を多くして、…と考えてみましたが、中弛みさせないでタロ・ジロとの再会シーンまでどう持って行くか。悩ましいですね。

北村 泰一(著) 「南極越冬隊 タロジロの真実」(小学館文庫、2007/2/6)
http://www.amazon.co.jp/dp/4094060049/
↑私は読んでいませんが、紹介だけしておきます。

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