2012年5月23日水曜日

ギターアンプシミュレータ:LINE6製Mobile In+Mobile POD

■まえがき
 ギターアンプはメーカーや型番毎に音の特徴(やクセ)があるのですが、最近売られているギターアンプには、何種類かのギターアンプの音をシミュレートする機能がついている物が増えてきました。また、よく使われるエフェクタ(コーラス、コンプレッサ、ディレイ、リバーブなど)も内蔵しているアンプが増えてきました。ギターアンプの雄・英Marshall社のMGシリーズ(15~30Wクラスの物はMarshall製の割に安い)も同社の各世代のアンプの音を再現していますし、エフェクタも内蔵されていて、多彩な音作りが出来ます。他のメジャーな会社、VOXやHughes & Kettner、LINE6といったメーカーも似たコンセプトのアンプを出しています。

■しかし! アンプを持ち運ぶのは重い!
 ギターだけでも嵩張るのに、アンプは(特に高出力の物になればなるほど)嵩張り、気楽に持ち歩けるシロモノではありません。そこで、最近はヘッドフォンアンプなんていうものが出回っている訳ですが、音作りは殆ど出来ず(ゲイン・トーン・ボリュームの3つのみ)、あくまでも「出先等での練習用アンプ」という位置付けになります(ギターケースに簡単に収まるので、これはコレで便利ですが)。

iPadでMobile PODを起動した時の画面

■LINE6 POD
 そんな中、LINE6からPODというアンプシミュレータが出ました。このアンプシミュレータは、スピーカーこそ付いていませんが、色々なアンプのシミュレーターと各種エフェクターを内蔵した、ヘッドフォンアンプのお化けみたいな物です。鞄になら軽く収まるサイズで、宅録にも耐えるクオリティ。これ1台で色々な音が作れて、アマチュアはもちろん、一部のプロにも受けた製品です。主なものを高級な順に並べると、
  ・LINE6 POD X3 <http://www.amazon.co.jp/dp/B0012349MY/>
  ・LINE6 POD 2.0 <http://www.amazon.co.jp/dp/B003M8E5ZS/>
  ・LINE6 POCKET POD <http://www.amazon.co.jp/dp/B003M88OQO/>
といった辺りでしょうか。
■LINE6 Mobile In+Mobile POD
 LINE6 PODはヘッドフォンアンプをデカくしたような、ギターアンプシミュレータ(専用ハードウェア)ですが、iPhone/iPadをPODにしてしまおうというのが、Mobile In(ギター音入力I/F)と、専用AppのMobile PODです。
  ・LINE6 Mobile In: iPhone/iPad用オーディオインターフェイス<http://www.amazon.co.jp/dp/B0060F8H1S/>

LINE6の「Mobile In」。写真のように、iPhoneやiPadのDockコネクタに繋いで使います。
音声入力はモノラルのミニプラグが2ライン(Audio InputとGuitar Inputの2系統)あります。
付属の標準プラグ(ギター)-ミニプラグ(Mobile In)を使って、ギターの音を入力出来ます。

開梱すると、Mobile In本体と標準プラグ-ミニプラグ
変換ケーブル(ギター用ケーブル)が入っています。

今でこそアンプシミュレータは珍しくないシロモノになりましたが、専用のハードウェアでなく、手持ちのiPhoneやiPadをアンプシミュレータにしてしまおうというコンセプト、悪くないです。ギターアンプメーカのLINE6からはMobile POD+Mobile In(専用オーディオI/F)、IK MultimediaというiPhone系に強いソフトメーカから出ているAmplitube iRig、といった物がそれです。私はLINE6のMobile Inを買いました(それとiPad用にMobile PODをダウンロードしました)。何故iRigじゃないのか? iRigはiPhone専用(私の手元にあるiPod TouchやiPadでは不可)というのが表向きの理由ですが、本当は島村楽器ユーカリが丘店の某店員の笑顔に乗せられて買ったというのが真相です(笑)。
 Mobile In(ハードウェア)+Mobile POD(ソフトウェア)の組み合わせ、iPod Touchには対応していないのですが(iPhoneやiPadで使われているプロセッサ「A4」の処理能力が必要なのでしょう)、まぁ初代iPadでちゃんと動くので文句は特に無し、です。

■使い勝手
 自分の場合、iPhoneじゃなくてiPad(しかも初代)なので、Mobile InがiPadの専用ケースと干渉してしまい、iPadをケースから出さないとちゃんと使えないのが×です。
iPadを純正ケースに入れたままMobile Inを繋ぐと…ちゃんと繋がりません。

iPadをケースから出して(チョット面倒くさい)Mobile Inをつなぎ、iPad上でMobile PODを起動します。

iPad上のMobile PODのアイコン。LINE6社製PODの形です。

Mobile PODを起動すると、プリアンプ(Gain/Volumeと、Treble/Middle/Bassのツマミを
回すことが出来ます)、各種エフェクターのON/OFFや繋ぎ替えをすることが出来ます。
操作画面上半分にプリアンプを表示しておき(画面下半分でプリアンプ=スピーカーの
上に載っている=をタッチするとプリアンプ設定・操作画面になります)、右上の「交換」
を表すアイコンをクリックすると、プリアンプを32種類の中から選ぶことが出来ます。
プリアンプ選択画面・その2

 好きなプリアンプ・スピーカーキャビネットを選んだら、あとは適当に遊ぶだけです。iPad上でプリアンプのゲインやボリュームをいじると、歪み・音量がちゃんと変わります。iPad内蔵スピーカーでは非力なので、できればヘッドフォンを使った方が良いでしょう。

 音の雰囲気を文字にするのは難しいのですが、プリアンプの種類を「MODERN HIGH GAIN#1」「同#2」にすると、“今時な”音になります。「CALIFORNIA CRUNCH #1」「同#2」は、思ったほど歪んだ音ではありませんが、ストラトキャスターをつなぐと米西海岸の音がする~、な感じになります。プリアンプによっては、ビートルズ風の音にもなりますし、「LINE 6 INSANE」にすると、ゾリゾリと歪みまくった音になります。

プリアンプの選択と同様、画面下半分のスピーカー部分にタッチして、画面上半分に
スピーカーキャビネットを表示させた状態で、右上の「交換」ボタンをクリックすると、
スピーカーキャビネットも交換できます。16種類の中から選ぶことが出来ます。
スピーカーキャビネット選択画面・その2

 プリアンプを選択すると、スピーカーキャビネットも取り換えられてしまうのですが(そのプリアンプにデフォルトの物になるようです)、あとからスピーカーキャビネットだけ交換することもできます。見た目的に古そうな物にすると、ちょっとモコモコした古いスピーカーみたいな音になりますし、4X12 BRIT V-30など新しめの物にすると、高音・低音の抜けの良い音になります。
 エフェクターは、12種類の中から選べます。プリアンプ前に4個まで、プリアンプの後に4個まで、自由な順番で入れられます。これもプリアンプ選択時にデフォルトの物になってしまうのですが、プリアンプ選択後、自分の好きな物に入れ替えることが出来ます。

エフェクタ選択画面。ボリュームペダル、ワウペダルなんて物もあります。
ギター弾きながらiPadの画面でコントロールするのは難しいですが…(笑)。

 ただのヘッドフォンアンプより多彩な機能(今時のアンプシミュレータ付きギターアンプ以上の機能)を、マッチ箱程度のI/Fで実現できているのは、iPhone/iPadのCPUパワーを使っているからでしょう。ギター練習だけでなく、iPodのオーディオ出力をレコーダーに繋げば、宅録にも充分使えるパフォーマンスだと思います。
単なるオモチャとして使うには勿体ない位のツールだと思います。

■余談1:クロマチック・チューナー機能
 Mobile PODの左下に音叉のマークが表示されていますが、ここをタッチすると、クロマチックチューナーの画面になります。インライン型のチューナーと同じく、十分な反応速度・精度を持っています。ピッキングによりピッチが多少動くのも拾ってくれます。クリップ式のチューナーよりもピッチずれが細かく拾えますので、オクターブピッチの調整などシビアな使い方にも向いていると思います。

■余談2:Garage Band+Mobile Inという使い方
 このMobile Inですが、iPad用のApp「Garage Band」の音声入力I/Fとしても使えます。つまり、自分の演奏をiPad上でデジタルレコーディング(多重録音可)出来ます。コレさえあれば、iPhone/iPadとギターとMobile Inを持ち歩き、場所を選ばず音楽制作が出来るでしょう。
…なんて、私はソコまで使い込んでいませんが。。

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