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シースルー紫のキルテッドメイプル。通称「悪女」です。
あちこち調整しましたが、外見上は殆ど変化ありません。
で。全弦半音落としとはいっても、単に弦を緩めりゃ良いってモンでもありません。FRT搭載ギターでは結構手間がかかります(フローティングブリッジであることと、ブリッジサドル位置の調整がちょっと面倒臭い構造になっている、という2点がポイントです)。
- 弦を全部半音落としたチューニングにします(6弦からE♭・A♭・D♭・G♭・B♭・E♭)。フローティングブリッジなので、1本緩めると他の弦はピッチが上がっちゃう。この辺りはバランスを取りながらの作業になります(バランスを取りながら…は、普段のチューニングや弦交換でも同じですけどね)。
- ボディバック側のスプリングの引き量を調整し、弦の張力とのバランスを取り直します。
- 再度チューニングをし直します。
- オクターブピッチ調整をします(各弦のブリッジサドルの前後位置を調整します)。6弦全部チューニングの合った状態でないと調整にならないので、弦1本ずつ作業をします。
- 12Fの実音とハーモニクス音が同じピッチになるかどうか確かめます。フレットが摩耗しているギターでは完全に合わせることは難しいです。7Fや19Fでもハーモニクス音と実音を比較して、どこかで妥協することになります。
- 実音の方が高ければ、ブリッジを遠くに移動する必要があります。実音の方が低ければ、ブリッジを近くに移動する必要があります。
- ブリッジを移動する時は、その弦だけ弦をビロンビロンになるまで緩めて、ブリッジを移動し、弦を再度張って正しいチューニングにし、ハーモニクス音と実音が同じピッチかどうかの確認からやり直しです。これが合うようになるまで、何度も繰り返します。
- 大マジでこの作業をやると、調整だけで弦1セットをダメにします(ブリッジ部とナット部に負担がかかる作業なので)。また、同じ弦でも張ってからの経時変化でオクターブピッチが少しズレるので、実用的なやり方として、新品の弦を張って2~3日置いてから(Elixir弦の初期伸びが安定する時間をおく)、オクターブピッチを合わせて、その後はオクターブピッチ調整はサボる、というのがワタシのやり方です。FRT搭載ギターは弦交換だけでも他のギターの何倍もの時間がかかるので、安定・長持ちなElixir弦だけを使い、毎回同じゲージを張るようにしています。
で、このギター。ブリッジにはFloyd Roseライセンス品(Gotoh製)が使われています。Floyd Roseオリジナル品と微妙に形状が違うのに加え、ネジ類を銹びないSUS製に交換しちゃっているので(ロックピンが元より短くなっている)、FRTギター用の“神治具”、「FRT Key Intonating Tool」が使えなくなってしまっています(ロックピンの長さが足りず、この治具が入るスペースが無くなってしまいました)。
- ちゃんと調べた訳ではありませんが、このIntonating Tool、Ibanezギターとかの低背式FRTとかにも使えないのではないでしょうか。
FRT Key Intonating Tool、持っていることは持っている
FRT Key Intonating Toolはこんな風に使います。
ロックピンを引っ張る形で弦をブリッジエンド側に引っ張る仕組みです。弦に張力をかけたままブリッジ移動ができるので、オクターブピッチ調整が非常にやり易くなります。
このIntonating Tool、弦に張力をかけたままブリッジ位置を変えられるスグレモノです。でも、ワタシのSD-IIはこれが使えない。…となると、ブリッジ位置はノギスで計測しながら0.05~0.1mm単位で手動で移動です。ブリッジをちょっと移動して固定、弦を張り直して正しくチューニング、オクターブピッチの確認。オクターブピッチがずれていたら、再度弦を緩めてブリッジ位置を修正。この繰り返しです。
SD-IIのFRTライセンスブリッジ(Gotoh製)
ネジ類はEPSのSUS製互換品に交換してあります。
ちょっと手間はかかりましたが、全弦半音落としをしたら、レギュラーチューニングだった頃よりも、あちこちバランスが取りやすくなりました。この子(ギター)、最初からこういう使い方を想定されて設計されたのでは、と思えて来ました。
このように調整に手間のかかるギターですが、一旦調整を済ませてしまえば、あとは抜群の安定性。トレモロアームで音を変えられる範囲は広いし、弦がビロンビロンになるような極端なアーミングをしてもチューニングは殆ど狂いません。ハーモニクスの高音を出しながらギャゥア~と叫ぶような音を出してもチューニングが狂わない。FRTの良いトコロと言ったら、コレだよ、コレ♪
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